イラストレーター・稲葉早苗のホームページ
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彼とフェロモンと私
更新日:03.01.01
 
2003年1月1日/第1回
彼とフェロモンと私
どうしても落したい異性がいた場合、あなたはどういった手段を選ぶだろうか。私の場合、ラブレター紛いのメールをだしてみたり彼の趣味を調べ上げて話を合わせてみたりと色んな事をやってみるのだが、やってる本人に魅力が無ければそれは無駄な努力である。そして私が考える魅力とはずばり「フェロモン」である。フェロモン! フェロモン!! フェロモンさえあれば何とかなる!!! しかしフェロモンなどと簡単に言ってはみたが、これが相当にくせものであるのだが…。
さて、どんなにルックスが良くて性格がよくても、なぜかモテない人というのがいるが、私に言わせれば、それはつまりフェロモンが出ていないのだ。フェロモンとはルックスや性格に関係なくその人からでている「誘うオーラ」みたいなものだと思うのだが、こいつが出ていないといくら誘ってほしくても相手は誘ってくれない。逆にフェロモンが出ていればいるほど、手当たり次第、のべつまくなしに誘われまくるというわけで、つまりフェロモンが出ている人=モテる人なのである。
かくいう私はというと、どうやら全然出ていないらしい。どんなに絞ってみても出てこない(絞っても出るものではないかもしれないが)。私の研究の結果、フェロモンが出る人には「先天性フェロモン放出型」と「後天性フェロモン放出型」の2種類がある。つまり先天的にフェロモンを放出していない人でも、努力次第でフェロモン放出型にはなれるのだ。
そこに気づいて以来の私のとった行動をここに記してみよう。
  • 「誘惑」…露出度の高い服を着用してみる
  • 「攻撃」…好意を示すべく手料理など用意してみる
  • 「気合い」…勝負パンツを履いてみる(これは相手には見えないが、なんらかの形で相手に伝わることを期待)
等々である。しかし、これでフェロモンムンムンギャルになれれば苦労しない。26年出てこなかったものが、この程度でいきなり吹き出すはずが無いのだ。
そんなある日。友達がフェロモン放出の面白いものをくれた。これは言わばドーピング行為にあたる代物なのだが、この際、スポーツマンシップにのっとっている場合ではない。これぞフェロモン噴出のリーサルウエポン! その名も「フェロモン・ガム」である。
説明書が英語で書いてあってよく解らないが、おそらく 「お目当ての異性の前で噛んでいると良いムードになれまっせ!」 的な事が書いてあるに違いない。真っピンクのガムが10粒入っている。いかにも効き目のありそうな色で期待が持てるではないか。10粒ということは10回しかチャンスが無いのか…。これは慎重に事を運ばなくてはいいムードになれないぞ。
私は早速好きな人と無理矢理遊ぶ約束をし、手料理まで用意した。さらに妹から普段は絶対に着ないようなピンクのノンスリーブ(トラのイラストまで入っていかにも強そう!)まで借りたてその日に備えた。
そして、いよいよ当日。彼の部屋でテレビを見ながらコソコソとガムを口に入れてガシガシ噛みはじめた。ガムを噛みながら心の中で叫ぶ。「いでよ! フェロモン!」チラり。横目で彼の様子を伺ってみてもなんの変化もない。味がなくなっては新しいガムをポイポイ口に入れて噛んでみた。しかし、なんの変化もない。おかしいな。ちょっと噛みすぎぐらい噛んでるのに、なんで全然反応しないんだろ?
説明書が英語で全然わからなかったけど、ひょっとしたら 「二人で噛むと良いムードになれまっせ!」とか書いてあったのでは? ならばなんとしてもこのピンクの小粒を彼に喰わせねば!
私「ねぇねぇガムあげようか?」(さぁ食え)
彼「え、いいよ別に」
私「一つくらい食べない?」(いいから食え)
彼「いいよー。いらないよー。」
私「欲しくなったら言ってね。いっぱいあるから」(その時が、お前の命日だ)
彼「そんな体に悪そうな色のガムなんかいらないよ〜」
ガーン!!
終わった。この作戦はあっけなく終わった。敗因はこのガムの色であると思われる。このガムがこんな毒々しい色さえしていなければ、あとは勝負パンツでたたみこむだけだったと思うと悔やんでも悔やみきれない。そもそも、こんなガムが切り札という時点で、成功するはずの無い作戦だったかも知れないけど…。

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凄いのが買えそうです
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